婚活、結婚維持活動、パパ活 今どきの恋愛と結婚の形の変化

投稿日 2017.11.10

婚活の変容

婚活なる言葉は2008年社会学者の「山田昌弘」とジャーナリスト「白川桃子」が就職活動の略である就活をもじって作られた言葉である。
まだ10年にも満たない言葉が私たちの社会に普及し、私たちの生活の一部としての結婚や恋愛を大きく変容させた。

本文の著者は社会学を専攻し、2008年以前に山田昌弘が学会で講演したのを聞いたことがあるが、専門も私とは異なるので、それほど関心を持つことはなかったが、その誕生から10年で、妊活だとか、パパ活、終活などと『活』を含む派生語が様々生まれた。

これらの言葉が生まれたことで、では何が変わったのだろうか?

結婚相談所の変化と市場の活性化

当たり前のことといえばそれまでだが、こういった言葉、概念が生まれたことで、ある種の事象が語られるべき対象として立ち現れることとなった。
具体的には、婚活なる言葉が生まれたことで、これまでの結婚相談所のありようは大きく変化したといわれている。

例えば、仲人・結婚相談所といえば今までは世話好きな高齢女性の非営利活動的なイメージだった。

そういう意味で、それまでは良くも悪くも“緩かった“が、婚活という概念によって経済的にも、パートナーを獲得する競争としても市場として顕在化、「発見」されたといえるかもしれない(余談だが、「婚活」は同時にIT化されて、高齢女性が慈善事業的に運営してきた相談所は一部は大手に吸収され、一部は淘汰された)。

婚活ビジネスの市場規模はネットを検索したところ1800億円だそうだ。
晩婚化・女性の自立化など様々な要因が結婚適齢期を後ろ倒しし、市場規模はかつてないほど大型化していると容易に想像することができる。

また、これまでの漠然とした結婚したいという男女それぞれの欲求、願望を肥大化させている。
男性なら年収で、女性なら容姿で好条件が求めて現実的な相手を見つけられなくなっている。

結婚相談所はそれでも月会費という形で収益につながるため、仲人やコンシェルジュは是正を促しはしても、効果的な打開策など講じない。
婚活という言葉、概念が生まれたことで、市場が活性化した。

また一部の例外的な条件を持たない男女を除いて寡頭競争を強いられるため、逆説的に結婚が遠のき、諦める男女は意外と多いという。
40代男性の成婚率は5パーセントだと聞かされたことがある。

勿論世間の大多数の男女が結婚し幸せな家庭を築いているが、そこからあぶれた男女のセーフティネット、あるいは敗者不復活の受け皿、手段であるはずの結婚相談所ですら、その程度しか救済できない以上、婚活は夢を見る場所ではなく、現実を認識する場所でしかないのかもしれない。

また、結婚維持活動という言葉が最近散見されるようになった。

結婚維持活動

婚活を何とか勝ち抜いて、幸せな結婚生活を夢見ていたが、今度は結婚を維持するために努力しなければならない。
結婚を維持持続させるための様々な活動をこう呼ぶのだそうだ。

そもそもこの言葉は何をもじった言葉なのか考えれば、『平和維持活動』、いわゆるPKOであろうことは容易に想像がつく。
であれば、まだ略語はないようだが、KKO(kekkon)とか、MKO(marrige)とでも呼ばれるようになるのだろうか?

結婚維持活動

結婚維持活動から結婚の正体を考察

仮定の話は置いておくとしても、結婚とはそれほどに維持や忍耐、リスクや苦痛と不可分の在り方なのだろうか?
過酷な?婚活を乗り越えた先に幸せが待っていないなら、そもそも結婚とは何なのか。
というような気持ちがこのネーミングセンスの背後に透けて見える。

結婚しても、パートナー自身も意思を持った、異なる価値観を持った存在であり、時としてあなたの望むことと真逆のことをするかもしれない。
その結果、口論や喧嘩になって、修繕不能な亀裂を生じさせることもあるだろう。

それでも子供がいればそれをかすがいにして関係修復を図ることもできるかもしれないが、愛情も薄れ、子供もいないとなると何のために結婚を維持しなければならないのか、結婚で自分だけが一方的に犠牲になっていると感じた場合、過去に比べれば女性の自立も可能となっていることもあり、結婚生活はたやすく破綻しかねない。

女性の自立、社会進出が離婚の間接的な要因となっている現代だからこそ、従来の家父長制的な伝統的な夫婦関係はかつてないほど脆弱さを露呈することになったのだろう。
結婚維持活動なる言葉が生まれたのは、逆に破綻の危うさゆえにといえるだろう。

晩婚化や男子の草食化、あるいは女性の社会進出によって、従来の家族像とともに夫婦像は揺らいでいる。
結婚という制度がただリスクでしかないと見做されるとき、新しい男女関係の形を模索する動きが常に伴っているはずである。

結婚という形態はかろうじて維持しつつも同居をやめ、週末だけ一緒に暮らす週末婚なるドラマが流行したのはいつくらいだっただろうか?
それ以降も話題になることはなかっただろうが、様々な試行錯誤があったはずである。

その延長に最近は『パパ活』なる言葉、関係が話題となっている。

パパ活とはいったい

パパ活という言葉を考えるとき、類義語と、これまでの恋愛や結婚とどう違うかを明確にする必要があるだろう。

まずパパ活というものをまとめると

  • 1.富裕男性から女性が経済的支援を受ける
  • 2.デートや食事、飲酒といった交際
  • 3.肉体関係は伴わない

といった条件を満たすのが主な条件となるようだ。
勿論実際の交際はそれぞれ若干違いがあるだろう。

特に3については、男女の関係なので、例外もあるだろう。
だがそうなった場合は援助交際とほぼ同義になってしまう。

では男性はこの関係から何を得ているのだろうか?

パパ活とは

パパ活で男性が得られるもの

勿論男性の中には将来的に肉体関係を持つことを夢見る(夢想する?)場合も多いだろう。
男女のことなので、それは寧ろ自然と言える。

だが女性側からすれば場合によっては年齢が50も離れた男性にそんな関係を持ちたいと思える理由はなかろう。
当然女性からは拒否されるか、金銭目的で我慢して受け入れるか、その駆け引きとなる。

そもそも女性たちは恋愛感覚に乏しく、割のいいアルバイト感覚ですらあり得る。
だから別に彼氏を持っている場合も多く、女性は恋愛感覚の男性を気持ち悪いとおもっているかもしれない。

だからこそ、肉体関係を求められても違和感しかないだろう。
そういった意味でパパ活の男女は私見では、出会い系や援助交際よりも、寧ろと握手会で会えるアイドルとそのファンの関係のほうが近いかもしれない。

男性の側からすれば大した代価も得られないにもかかわらず、(ファンでない者にはほとんど理解のできない)『選挙』での順位を上げるためにCDなどのグッズを買い支援するファンの心理や行動と近いもののように思えてならない。

そうでも考えないと対価の乏しい男性側にとってこの関係は説明できないように思われる。
そういった意味で男性がいつか肉体関係を持つことができると、淡い期待を持ちつづける以外にどういった考え、気持ちでこのような関係を受け入れるのかそのあたりのほうが興味深い。

あくまで推論だが、実際の恋愛や婚活、結婚維持活動に疲れ、かつ経済的に余裕があるならば、余剰財産をそのアイドルに使うように、パパ活では一般の女性に対して男性がお小遣いを渡すことも寧ろ当然なのかもしれない。

少なくとも、それが彼らにとって、若い彼女たちにアピールできる最大の価値だからである(勿論中には就職先のあっせんや仕事のアドバイスをする男性もいるだろう)。
どんな人間関係であっても双方に利益が伴わなければ成立しない以上、男性が提供する恩恵に何らかの形で報いなければならないとすれば、それは一体何なのだろうか?

パパ活と呼ばれる関係の一番の難しさはこの点にあると考えられる。
援助交際であれば、安易に肉体を差し出せばいいだろうが、それでは本来のパパ活とは呼ばない。

かといってパパと呼んで自身を擬制的な子供の位置に置くことで赦されるわけでもあるまい。

実際の夫婦や親子のような扶養義務によって、馴れ合い、払って当たり前とふんぞり返られるよりも、少なくとも、男性を喜ばせ、満足させる必要がある彼女たちに払いたいと思わせるために健気に努力してくれるのだから、応援したいと思うのかもしれない。

家では給料を持ってくるだけの存在と軽侮され、顧みられない男性の家族への意趣返しとして、ささやかな反抗なのかもしれない。
男性がパパ活で得られるもの

パパ活のさらに先の形

そもそもパパを探す場所としてのデートクラブ、交際クラブという場所は富裕紳士男性の社交場であった。
当然女性もそういった男性に見合う知性と教養を備えた淑女(この言葉も死語となりつつあるが)が交友するという場所だった。

従来の社交場としてのポジションは寧ろがキャバクラなどが台頭し、プロ化が進んだため、デートクラブ・交際クラブには新しいニーズを取り込み、今は寧ろそういった女子大生が殺到している。

現代の恋愛と結婚が時代にふさわしい形で変化したことを批判してもあまり意味があるとは思わない。
パパ活にいそしむ女子が他に彼を持っていても、それを批判したところで何の意味があるだろうか。

交際クラブ・デートクラブでパパとしりあい、多額の援助を引き出すことと彼との恋愛は彼女たちにとっては同じようでいて同じではないのだろう。
パパ活の条件として挙げた、3つの要素以外に何か言語化されていない、新しい男女関係を象徴するような概念があるのではないかと思えてならない。

今後この分野で社会学などが新しい研究業績を蓄積させていくことを期待して本稿を閉じたいと思う。

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