2018.04.18
恋愛は性欲とは言いたくない 脳を科学的に分析でわかること
恋をしていて時として、これって性欲??と思っている人たちも多くいるのでしょうか。
デートクラブで多数の相手とデートしていると、毎度そんなことを考えたりもします。
ロマンチックだと思った恋もそのような思いでは、瞬間萎んでいくような感じです。
恋している脳を化学的分析
人類学者のHelen Fisher(ヘレン・フィッシャー)氏は、敢えて、そのような思いを否定します。
その理由は、恋愛は人間にとって根源的な欲求だということです。
しかし、こんなことを簡単に証明することは出来るのでしょうか。
ヘレン・フィッシャー氏は、熱愛経験のある37人をMRIスキャナーで検査するという大胆な実験をおこないました。
そして脳底付近にある「腹側被蓋野」と呼ばれる場所で「A10細胞群」が活発化していることを発見します。それは、自然興奮剤のドーパミンを作る細胞で、ドーパミンを脳に放出します。
執着心が人間を支配する
腹側被蓋野は、欲望、やる気、集中力などにも関与している場所です。
コカインでハイになると、同じ領域が活発になることがわかっているので、恋愛とは、コカインのハイの状態に近く、それを上回る状況と捉えることができます。
コカインの場合は一時的活発化するものの、恋愛は、「執着心」が人間を支配します。
ですから、恋愛をしている人たちは、いつも相手のことを考えずにいられなくなってしまうのです。
それは、まるで恋愛をした人たちは、自分自身では自由が効かないような誰かが居すわってしまっているような感じです。
しかし、恋愛とはそのような意味では、狂気であり、ふられることで、執着心もどんどん悪化して行ってしまうでしょう。
モルモットの17人は熱愛中、15人は恋が終わった人たちでした。 恋が終わった人を、CTスキャンにかけると、脳の3領域に活動が見られ、それらは激しい恋愛をするときに活発になる脳の領域です。
ここで、恋愛に対して、私達は、失恋した時相手のことを忘れている素振りをするものの、逆により一層相手のことを愛してしまっていることがわかります。
ローマの詩人テレンスは「望みが低いほど燃える」と言いましたが、まさにそのことを言い当てているのではないでしょうか。
恋愛=性欲??
他の領域でも活動している領域があり、損得勘定に関連する脳領域です。(脳の坐核側と呼ばれる部分)大きな利益を賭けて危険を冒すとき、このような部分が活発になることがわかっていますが、恋愛でも、同じ様活動が起こっています。
恋愛には、実際に様々な犯罪の悲劇も起こっています。
それを、性欲を解消するためと結びつけることは簡単に出来ることですが、それは、人間の損得勘定に絡んで、報酬を得たい欲求が起こったからと考えることができます。
人間は、人生最大の報酬を得るために、強いエナジー、集中力が出、動機付けも明確になり、だからリスクを冒そうというモチベーションも生まれて来ます。
恋愛とは、性欲ではなく、自分を動かす動力の源なのです。 性欲という考えに立てば、安易に広い視野を持ち、様々な相手を範囲とすることができますが、恋愛というものは、「交配へのエネルギー」を他の人に浪費しないため、そのターゲットは1回に1人限定です。
なんで一目惚れをしてしまうの?
「愛の神は必然性があり存在するもの。必然性のなかにある衝動のようなものであり、身体が正常に機能するためのアンバランスであり、それはまるで、空腹や喉の乾きのように、人間にとってなくすことは不可能に近い」と言ったのは、あのプラトンです。
恋する1人に神経を集中し、執拗にその人のことを考えてしまうのが恋愛です。 恋こそが、極めて中毒的な物質なのです。
動物だって、見境なく交配を行う種はおらず、愛情が存在します。相手に魅力を感じなければ交尾はしません。
「恋の引力」ともいうことができ、それは、報酬系脳領域に関わりをもっているからでしょう。
動物の引力も瞬間的であり、ここに、一目惚れの原型が存在していると見て取ることができます。
彼が恋愛について実験をおこなっている過程で、段々と人たちの抱く恋心には偽りがないということがわかって来ます。
なぜ無数にいる人から敢えてその人に恋をするか……、その人たちに聞いてもなかなか上手く答えは返って来ないでしょう。
好きは好きでしかあり得ないというでしょう。
しかし、恋に落ちたときの脳の活動には答えがあります。1人に恋する理由と言ったものもここに存在しています。
もしも全員が同じ社会背景を持っていて、同じ知性レベルを持っていたとしても、全員に恋をするということはありません。
やはり、そこには、生物学的な理由が存在していると考えるのがベストでしょう。
脳の仕組みがわかることによって、解決される問題は数々存在しているはずです。
人間たちは脳内に長年の荷物を背負って生きています。
人間たちの脳の中の長年の荷物によって、「恋愛」は「性欲」とは別のモノとし、区別されていくことになります。
性欲とは、ごくごくランダムな薄っぺらい判断であるのに対して、恋とは、脳の中で、長年の荷物によって深く語られ、私達は相手に理解を求める欲求を持つことになります。